宇都宮城址公園に集まった5,000人の観客に見守られながら、小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)が先頭で最終周回を駆け抜ける。辻善光(Team Zenko)との熾烈なバトルを制した小坂が初代ジャパンカップシクロクロスチャンピオンのタイトルを手にした。
前日のエキシビションレースに引き続き、ジャパンカップシクロクロス(TOHOKU CX第2戦)の舞台は宇都宮市のど真ん中に位置する宇都宮城址公園。宇都宮市役所に隣接し、市民の憩いの場である公園にバラエティに富んだ周回コースが作られた。
コースの約半分は公園内の芝地で、テクニカルコーナーからハイスピードコーナーまで様々なスピード域のコーナーが描かれる。石の階段とシケインがそれぞれ2カ所設定され、そこに堀を取り囲む舗装路が組み合わされた1周1.4kmの周回コース。台風の影響を感じさせない陽気に包まれたこの日、160名の選手たちがレースに挑んだ。
トップカテゴリーのカテゴリー1には16名が出場。ホールショットを決めたのは辻善光(Team Zenko)で、ここに丸山厚(BOMA RACING)と小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)、濱由嵩(SPEEDVAGEN CYCLOCROSS TEAM)が加わって1周目を完了した。
合計15周回で争われたカテゴリー1。先頭では小坂光、辻、丸山、濱の4名がハイペースでラップを刻む。後方では今年7月の鎖骨骨折から復帰したばかりの小坂正則(スワコレーシングチーム)が徐々にポジションを上げた。
やがて先頭パックに小坂正則がジョインし、ここから小坂光と辻が抜け出して先行。小坂正則が単独3番手となり、丸山と濱が4番手を競り合いながらレース後半へと向かった。
沿道から「ヒカル」と「ツジ」の声援が飛ぶ中、一進一退の攻防を続けた小坂光と辻。両者一歩も退かないデッドヒートが数周回にわたって続き、ついにフィニッシュまで3周回を残して明暗が分かれる。一気に仕掛けた小坂光に辻が遅れを取った。
「互いに得意なポイントと苦手なポイントがあり、階段の手前(テクニカルセクション)は自分のほうが得意。そこまでに前に出ようと思ってアタックを仕掛けました」と小坂光は振り返る。そこで生まれた10秒前後のタイム差は最後まで埋まらず、追いすがる辻を振り切った小坂光が勝利を飾った。
「最高の気分です。宇都宮だからこそ実現出来た素晴らしい大会になりました」と、小坂光は溢れる喜びを噛み締めながら話す。「(辻)善光さんのペースが速くて、互いに限界ぎりぎりのところで競り合っていました。その走りが観ている方にも伝わったかと思います」。そうコメントしながら、絶えない観客からの写真撮影やサインに応じる。小坂光が前日のエキシビションレースに続く連勝で宇都宮を沸かせた。
カテゴリー1に先立ってカテゴリーマスターと混走でスタートしたカテゴリーL1は、坂口聖香(パナソニックレディース)と今井美穂(CycleClub.jp)の2人が先行する形で展開する。宮内佐季子(Team CHAINRING)は出遅れ、レース前半についた先頭2名とのタイム差は30秒弱。しかしそこから全日本選手権2連覇中の宮内の猛烈な追い上げが始まった。
最終周回突入の鐘を前に、坂口を振り切って先頭に立った今井を宮内がついに捉える。後半の追い上げによって先頭に立った宮内がそのまま先頭を守ってフィニッシュした。
「シーズンオフの間に2人(坂口と今井)が強くなっているのが分かっていたので、2人の顔を思い浮かべながら練習に打ち込んでいた」という宮内がシーズン初戦で勝利。表彰台では全日本選手権3連覇を狙うと宣言した。
カテゴリーマスターは水竹真一(チームスキップ)を振り切った浅井秀樹(Cycleculb3UP)が勝利。カテゴリー2は織田聖(Bottles and Chains)が後続を大きく引き離して勝利している。
ジャパンカップシクロクロス2014結果
カテゴリー1(15周回)
1位 小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム) 54'43"
2位 辻善光(Team Zenko) +09"
3位 小坂正則(スワコレーシングチーム) +14"
4位 濱由嵩(SPEEDVAGEN CYCLOCROSS TEAM) +31"
5位 丸山厚(BOMA RACING) +39"
6位 山川淳太郎(Team CHAINRING) +1'30"
7位 中間森太郎(TEAM edcoグラファイトデザインGIRO) +2'04"
8位 根本了慈(Champion System Japan) +2'06"
9位 伊藤博彦(シクロポリスARP) +2'09"
10位 金子楓(SNEL CYCLOCROSS TEAM) +2'15"
カテゴリーL1(10周回)
1位 宮内佐季子(Team CHAINRING) 41'19"
2位 今井美穂(CycleClub.jp) +06"
3位 坂口聖香(パナソニックレディース) +24"
4位 坂口楓香(パナソニックレディース) +1'08"
5位 林口幸恵(SNEL CYCLOCROSS TEAM) -1LAP
6位 綿貫通穂(臼杵レーシング) -1LAP
カテゴリーマスター(10周回)
1位 浅井秀樹(Cycleculb3UP) 39'11"
2位 水竹真一(チームスキップ) +14"
3位 小岩浩(Celeste轟座RC) +1'41"
4位 金田健太郎(CLUB Viento) +2'36"
5位 綾野真(チバポンズ川口農園シクロワイアード) +2'39"
6位 伴肇(臼杵レーシング) +2'42"
カテゴリー2(10周回)
1位 織田聖(Bottles and Chains) 38'50"
2位 藤田拓海(SNEL CYCLOCROSS TEAM) +49"
3位 伊井賢一(臼杵レーシング) +1'08"
4位 馬場勝尚(じてんしゃの杜) +1'25"
5位 佐藤英夫(オンザロード) +1'29"
6位 勝田鉄心 +1'37"
カテゴリーL2(6周回)
1位 高橋織江(PEDAL NATION) 28'19"
2位 安田朋子(W.V.OTA twin) +1'22"
3位 宮崎優花(ブレーゴ) +2'16"
4位 渡邊華史(W.V.OTA) +4'02"
カテゴリー3A(7周回)
1位 中里聡史 27'48"
2位 小長谷剛(Honda栃木) +46"
3位 高柴元(メイドさん学科自転車部) +52"
4位 角田祐一(W.V.OTA twin) +1'00"
5位 浦山泰洋(プレーゴ) +1'01"
6位 三浦一樹(SHOWA RF) +1'03"
カテゴリー3B(7周回)
1位 鬼形博之(OCI) 27'19"
2位 尾谷洋(キクミミモータース) +1'21"
3位 小島大輝(SNEL CYCLOCROSS TEAM) +1'25"
4位 辻啓(八ヶ岳CYCLOCROSS CLUB) +1'28"
5位 横関正司 +1'41"
6位 岩佐真吾(TEAM WAPPA) +2'03"
カテゴリーキッズ1(1周回)
1位 中島渉(MISTRAL) 4'11"
2位 中村歩生(チームJUN) +31"
3位 中島瞳(MISTRAL) +36"
カテゴリーキッズ2(1周回)
1位 原慎太郎 5'07"
2位 長島慧明(宇都宮市立陽東小学校) +34"
3位 加藤礼慈(0530711) +1'38"
4位 渡辺瑞基 +1'46"
5位 東康汰 +2'43"
6位 東俊汰 +2'52"
text&photo:Kei Tsuji
前日のエキシビションレースに引き続き、ジャパンカップシクロクロス(TOHOKU CX第2戦)の舞台は宇都宮市のど真ん中に位置する宇都宮城址公園。宇都宮市役所に隣接し、市民の憩いの場である公園にバラエティに富んだ周回コースが作られた。
コースの約半分は公園内の芝地で、テクニカルコーナーからハイスピードコーナーまで様々なスピード域のコーナーが描かれる。石の階段とシケインがそれぞれ2カ所設定され、そこに堀を取り囲む舗装路が組み合わされた1周1.4kmの周回コース。台風の影響を感じさせない陽気に包まれたこの日、160名の選手たちがレースに挑んだ。
トップカテゴリーのカテゴリー1には16名が出場。ホールショットを決めたのは辻善光(Team Zenko)で、ここに丸山厚(BOMA RACING)と小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)、濱由嵩(SPEEDVAGEN CYCLOCROSS TEAM)が加わって1周目を完了した。
合計15周回で争われたカテゴリー1。先頭では小坂光、辻、丸山、濱の4名がハイペースでラップを刻む。後方では今年7月の鎖骨骨折から復帰したばかりの小坂正則(スワコレーシングチーム)が徐々にポジションを上げた。
やがて先頭パックに小坂正則がジョインし、ここから小坂光と辻が抜け出して先行。小坂正則が単独3番手となり、丸山と濱が4番手を競り合いながらレース後半へと向かった。
沿道から「ヒカル」と「ツジ」の声援が飛ぶ中、一進一退の攻防を続けた小坂光と辻。両者一歩も退かないデッドヒートが数周回にわたって続き、ついにフィニッシュまで3周回を残して明暗が分かれる。一気に仕掛けた小坂光に辻が遅れを取った。
「互いに得意なポイントと苦手なポイントがあり、階段の手前(テクニカルセクション)は自分のほうが得意。そこまでに前に出ようと思ってアタックを仕掛けました」と小坂光は振り返る。そこで生まれた10秒前後のタイム差は最後まで埋まらず、追いすがる辻を振り切った小坂光が勝利を飾った。
「最高の気分です。宇都宮だからこそ実現出来た素晴らしい大会になりました」と、小坂光は溢れる喜びを噛み締めながら話す。「(辻)善光さんのペースが速くて、互いに限界ぎりぎりのところで競り合っていました。その走りが観ている方にも伝わったかと思います」。そうコメントしながら、絶えない観客からの写真撮影やサインに応じる。小坂光が前日のエキシビションレースに続く連勝で宇都宮を沸かせた。
カテゴリー1に先立ってカテゴリーマスターと混走でスタートしたカテゴリーL1は、坂口聖香(パナソニックレディース)と今井美穂(CycleClub.jp)の2人が先行する形で展開する。宮内佐季子(Team CHAINRING)は出遅れ、レース前半についた先頭2名とのタイム差は30秒弱。しかしそこから全日本選手権2連覇中の宮内の猛烈な追い上げが始まった。
最終周回突入の鐘を前に、坂口を振り切って先頭に立った今井を宮内がついに捉える。後半の追い上げによって先頭に立った宮内がそのまま先頭を守ってフィニッシュした。
「シーズンオフの間に2人(坂口と今井)が強くなっているのが分かっていたので、2人の顔を思い浮かべながら練習に打ち込んでいた」という宮内がシーズン初戦で勝利。表彰台では全日本選手権3連覇を狙うと宣言した。
カテゴリーマスターは水竹真一(チームスキップ)を振り切った浅井秀樹(Cycleculb3UP)が勝利。カテゴリー2は織田聖(Bottles and Chains)が後続を大きく引き離して勝利している。
ジャパンカップシクロクロス2014結果
カテゴリー1(15周回)
1位 小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム) 54'43"
2位 辻善光(Team Zenko) +09"
3位 小坂正則(スワコレーシングチーム) +14"
4位 濱由嵩(SPEEDVAGEN CYCLOCROSS TEAM) +31"
5位 丸山厚(BOMA RACING) +39"
6位 山川淳太郎(Team CHAINRING) +1'30"
7位 中間森太郎(TEAM edcoグラファイトデザインGIRO) +2'04"
8位 根本了慈(Champion System Japan) +2'06"
9位 伊藤博彦(シクロポリスARP) +2'09"
10位 金子楓(SNEL CYCLOCROSS TEAM) +2'15"
カテゴリーL1(10周回)
1位 宮内佐季子(Team CHAINRING) 41'19"
2位 今井美穂(CycleClub.jp) +06"
3位 坂口聖香(パナソニックレディース) +24"
4位 坂口楓香(パナソニックレディース) +1'08"
5位 林口幸恵(SNEL CYCLOCROSS TEAM) -1LAP
6位 綿貫通穂(臼杵レーシング) -1LAP
カテゴリーマスター(10周回)
1位 浅井秀樹(Cycleculb3UP) 39'11"
2位 水竹真一(チームスキップ) +14"
3位 小岩浩(Celeste轟座RC) +1'41"
4位 金田健太郎(CLUB Viento) +2'36"
5位 綾野真(チバポンズ川口農園シクロワイアード) +2'39"
6位 伴肇(臼杵レーシング) +2'42"
カテゴリー2(10周回)
1位 織田聖(Bottles and Chains) 38'50"
2位 藤田拓海(SNEL CYCLOCROSS TEAM) +49"
3位 伊井賢一(臼杵レーシング) +1'08"
4位 馬場勝尚(じてんしゃの杜) +1'25"
5位 佐藤英夫(オンザロード) +1'29"
6位 勝田鉄心 +1'37"
カテゴリーL2(6周回)
1位 高橋織江(PEDAL NATION) 28'19"
2位 安田朋子(W.V.OTA twin) +1'22"
3位 宮崎優花(ブレーゴ) +2'16"
4位 渡邊華史(W.V.OTA) +4'02"
カテゴリー3A(7周回)
1位 中里聡史 27'48"
2位 小長谷剛(Honda栃木) +46"
3位 高柴元(メイドさん学科自転車部) +52"
4位 角田祐一(W.V.OTA twin) +1'00"
5位 浦山泰洋(プレーゴ) +1'01"
6位 三浦一樹(SHOWA RF) +1'03"
カテゴリー3B(7周回)
1位 鬼形博之(OCI) 27'19"
2位 尾谷洋(キクミミモータース) +1'21"
3位 小島大輝(SNEL CYCLOCROSS TEAM) +1'25"
4位 辻啓(八ヶ岳CYCLOCROSS CLUB) +1'28"
5位 横関正司 +1'41"
6位 岩佐真吾(TEAM WAPPA) +2'03"
カテゴリーキッズ1(1周回)
1位 中島渉(MISTRAL) 4'11"
2位 中村歩生(チームJUN) +31"
3位 中島瞳(MISTRAL) +36"
カテゴリーキッズ2(1周回)
1位 原慎太郎 5'07"
2位 長島慧明(宇都宮市立陽東小学校) +34"
3位 加藤礼慈(0530711) +1'38"
4位 渡辺瑞基 +1'46"
5位 東康汰 +2'43"
6位 東俊汰 +2'52"
text&photo:Kei Tsuji