選手達を迎えたのは秋の曇り空。気温15〜18度の冷たい空気を切り裂いて、総勢63名の選手たちが古賀志林道の山岳周回コースに繰り出した。ヨーロッパ勢がコントロールするメイン集団から1週目で飛び出したのは、山本正道(チームブリヂストン・アンカー)、畑中勇介(シマノレーシング)、菊池誠晃(EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)、小森亮平(ジャパンナショナルチーム)、廣瀬佳正(宇都宮ブリッツェン)の5名。
3回目の古賀志林道で逃げグループ内に落車が発生するなどのトラブルに見舞われながらも、5名の逃げは最大2分30秒のリードを稼ぎ出すことに成功。3周毎に設定された山岳賞は、畑中、廣瀬、小森が獲得した。地元宇都宮の声援に応えるように奮闘した廣瀬だったが、やがて先頭から脱落してしまう。メイン集団をコントロールするヨーロッパチームは容赦なく先頭グループのリードを食いつぶし、ゴールまで3周を残して集団が本格的なペースアップを開始するとエスケープは終了。ゴールまで2周半を残して、レースは加速度的に慌ただしさを増した。
まず動いたのはイェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)やイヴァン・サンタロミータ(イタリア、リクイガス)を含む4名。断続的なアタック合戦によって集団は大きく人数を減らし、残り2周回に突入する頃には先頭は16名が飛び出した状態に。この先頭グループに残った日本人選手は新城幸也(Bboxブイグテレコム)、宮澤崇史(EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)、土井雪弘(ジャパンナショナルチーム)の3名。逆にイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)やグスタフエリック・ラーション(スウェーデン、サクソバンク)の姿は無かった。
やがて古賀志林道の上りでファンホセ・コーボ(スペイン、フジセルヴェット)が攻撃的なペースアップを図ると、先頭は一気に7名まで縮小。ケースデパーニュは3名(ロドリゲス、ラストラス、モレーノ)を残した。
追走した新城とジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD)は何とか最終周回突入前の鶴カントリーの上りで先頭に合流。しかし新城は追走に力を使ったため、カウンターアタックで飛び出したセレンセンとパブロ・ラストラス(スペイン、ケースデパーニュ)の動きには反応出来なかった。
最後の古賀志林道の上りに突入したセレンセンとラストラス。ロドリゲスやコーボを含む追走グループはこの2名を捉えきれず、観客が詰めかけた上りでもう一段加速したセレンセンが独走を開始し、単独で頂上を越えた。
残り8km、後方にチームメイトのいないセレンセンの選択肢はただ一つ。ゴールまで踏み抜くこと。「後続とのタイム差が小さい苦しい状況。ラスト5kmはとにかく全力で踏み抜いた」。ゴールが近づいて牽制状態に入った追走グループを尻目に、セレンセンが2位以下を24秒引き離してゴールまで逃げ切った。
山岳スペシャリストとして頭角を現しはじめていた若手のセレンセン。2009年の勝利数はここまでゼロだったが、最後の最後でシーズン初勝利を手にした。
2位に入ったのは、3名を残しながらも利点を発揮出来なかったケースデパーニュのダニエル・モレーノ(スペイン)。「終盤にかけてチーム内の連携が上手く取れていなかった」と敗因を語る。バッソの不調によって戦略が狂ってしまったリクイガスは、イヴァン・サンタロミータを3位に送り込むことに成功した。
一方、日本人選手として唯一トップ戦線に加わっていた新城だったが、最終周回で失速。ゴール後新城は「最後の古賀志林道の上りで脚がいっぱいになってしまいました。沢山の応援ありがとうございました。来年もツール・ド・フランスに出場できるように頑張ります」とコメントを残している。最終周回に追い上げた鈴木真理(シマノレーシング)がラーションをスプリントで下し、日本人最高位の9位に入った。
リザルト
1. クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソバンク) 4h06'19"
2. ダニエル・モレーノ(スペイン、ケースデパーニュ) +24"
3. イヴァン・サンタロミータ(イタリア、リクイガス)
4. ファンホセ・コーボ(スペイン、フジ・セルヴェット)
5. パブロ・ラストラス(スペイン、ケースデパーニュ) +40"
6. ホアキン・ロドリゲス(スペイン、ケースデパーニュ) +59"
7. ヴァレリオ・アニョリ(イタリア、リクイガス) +1'25"
8. ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD)
9. 鈴木真理(日本、シマノレーシング) +2'08"
10. グスタフエリック・ラーション(スウェーデン、サクソバンク)
山岳賞
3周目 畑中勇介(日本、シマノレーシング)
6周目 廣瀬佳正(日本、宇都宮ブリッツェン)
9周目 小森亮平(日本、ジャパンナショナルチーム)
アジア最優秀選手賞
鈴木真理(日本、シマノレーシング)
3回目の古賀志林道で逃げグループ内に落車が発生するなどのトラブルに見舞われながらも、5名の逃げは最大2分30秒のリードを稼ぎ出すことに成功。3周毎に設定された山岳賞は、畑中、廣瀬、小森が獲得した。地元宇都宮の声援に応えるように奮闘した廣瀬だったが、やがて先頭から脱落してしまう。メイン集団をコントロールするヨーロッパチームは容赦なく先頭グループのリードを食いつぶし、ゴールまで3周を残して集団が本格的なペースアップを開始するとエスケープは終了。ゴールまで2周半を残して、レースは加速度的に慌ただしさを増した。
まず動いたのはイェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)やイヴァン・サンタロミータ(イタリア、リクイガス)を含む4名。断続的なアタック合戦によって集団は大きく人数を減らし、残り2周回に突入する頃には先頭は16名が飛び出した状態に。この先頭グループに残った日本人選手は新城幸也(Bboxブイグテレコム)、宮澤崇史(EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)、土井雪弘(ジャパンナショナルチーム)の3名。逆にイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)やグスタフエリック・ラーション(スウェーデン、サクソバンク)の姿は無かった。
やがて古賀志林道の上りでファンホセ・コーボ(スペイン、フジセルヴェット)が攻撃的なペースアップを図ると、先頭は一気に7名まで縮小。ケースデパーニュは3名(ロドリゲス、ラストラス、モレーノ)を残した。
追走した新城とジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD)は何とか最終周回突入前の鶴カントリーの上りで先頭に合流。しかし新城は追走に力を使ったため、カウンターアタックで飛び出したセレンセンとパブロ・ラストラス(スペイン、ケースデパーニュ)の動きには反応出来なかった。
最後の古賀志林道の上りに突入したセレンセンとラストラス。ロドリゲスやコーボを含む追走グループはこの2名を捉えきれず、観客が詰めかけた上りでもう一段加速したセレンセンが独走を開始し、単独で頂上を越えた。
残り8km、後方にチームメイトのいないセレンセンの選択肢はただ一つ。ゴールまで踏み抜くこと。「後続とのタイム差が小さい苦しい状況。ラスト5kmはとにかく全力で踏み抜いた」。ゴールが近づいて牽制状態に入った追走グループを尻目に、セレンセンが2位以下を24秒引き離してゴールまで逃げ切った。
山岳スペシャリストとして頭角を現しはじめていた若手のセレンセン。2009年の勝利数はここまでゼロだったが、最後の最後でシーズン初勝利を手にした。
2位に入ったのは、3名を残しながらも利点を発揮出来なかったケースデパーニュのダニエル・モレーノ(スペイン)。「終盤にかけてチーム内の連携が上手く取れていなかった」と敗因を語る。バッソの不調によって戦略が狂ってしまったリクイガスは、イヴァン・サンタロミータを3位に送り込むことに成功した。
一方、日本人選手として唯一トップ戦線に加わっていた新城だったが、最終周回で失速。ゴール後新城は「最後の古賀志林道の上りで脚がいっぱいになってしまいました。沢山の応援ありがとうございました。来年もツール・ド・フランスに出場できるように頑張ります」とコメントを残している。最終周回に追い上げた鈴木真理(シマノレーシング)がラーションをスプリントで下し、日本人最高位の9位に入った。
リザルト
1. クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソバンク) 4h06'19"
2. ダニエル・モレーノ(スペイン、ケースデパーニュ) +24"
3. イヴァン・サンタロミータ(イタリア、リクイガス)
4. ファンホセ・コーボ(スペイン、フジ・セルヴェット)
5. パブロ・ラストラス(スペイン、ケースデパーニュ) +40"
6. ホアキン・ロドリゲス(スペイン、ケースデパーニュ) +59"
7. ヴァレリオ・アニョリ(イタリア、リクイガス) +1'25"
8. ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD)
9. 鈴木真理(日本、シマノレーシング) +2'08"
10. グスタフエリック・ラーション(スウェーデン、サクソバンク)
山岳賞
3周目 畑中勇介(日本、シマノレーシング)
6周目 廣瀬佳正(日本、宇都宮ブリッツェン)
9周目 小森亮平(日本、ジャパンナショナルチーム)
アジア最優秀選手賞
鈴木真理(日本、シマノレーシング)