ラスト4周で動き出したジャパンカップロードレース。終始積極的に展開したロットNLユンボを最後に突き崩したロブ・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)が第27代ジャパンカップ覇者となった。
2019年1月のツアー・ダウンアンダーで引退するマシュー・ヘイマン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) photo:Kei Tsuji
引退レースとなるオスカル・プジョル(スペイン、チーム右京) photo:Makoto.AYANO
好天に恵まれたジャパンカップサイクルロードレースのスタート photo:Makoto.AYANO
ジャパンカップ最終日は、今年27回目の開催を迎えた宇都宮森林公園でのロードレース。UCIのルール改正によって昨年から大幅に増えた(14チーム69名→21チーム126名)選手を迎えたのは、昨年と打って変わって雲ひとつない青空。体感気温25度ほどの絶好の中世界トップクラスの選手たちが勝負を繰り広げた。
レースコースは毎年おなじみの宇都宮市森林公園周回コース。走行距離144.2kmという短距離レースだが、急勾配のつづら折れが続く古賀志林道の登りが含まれているため総獲得標高は2,590mに登る。急峻な登りとテクニカルな下り、平坦区間、そして終盤にアップダウンが続く難易度の高いコースに向けて、スタート直後からアタックの打ち合いが始まった。
最初の古賀志林道では、スタート前に入念なウォーミングアップを重ねていたマルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)と、現役最終レースのオスカル・プジョル(スペイン、チーム右京)が先行し、遅れて「チームとしてできるだけ攻める姿勢を貫くつもりだった」というクーン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ)も合流。1周目から次々とコンチネンタルチーム勢が遅れていくスピーディーな展開の中、強力な3名がおよそ1分半のリードを築き上げる。
過去最高人数でのスタートとなったジャパンカップサイクルロードレース photo:Makoto.AYANO
1周目から逃げるマルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリング)とオスカル・プジョル(スペイン、チーム右京) photo:Kei Tsuji
クーン・ボウマン(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ)がオスカル・プジョル(スペイン、チーム右京)とマルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリング)に合流する photo:Makoto.AYANO
宇都宮ブリッツェンファンが詰めかけた古賀志林道 photo:Kei Tsuji
メイン集団の前方には赤いジャージが集結する。「集団の人数が増えたことで位置取りが激しくなるはずなので、集団に埋もれるのではなく先頭でコントロールする作戦を取りました。勝負が掛かる10周目までは牽引して雨澤毅明と鈴木龍を温存しようという作戦でした」と鈴木譲が振り返るように、宇都宮ブリッツェンがフルメンバーでコントロールを開始する。赤い特別ジャージを纏うブリッツェントレインは、タイム差を最大2分半以内に押さえ込んだまま終盤まで牽引を続けた。
快調にローテーションを続ける先頭3名は3、6、9、12周回目の古賀志林道頂上に懸けられた山岳賞でそれぞれ競り合い、最初はマルコスが、2回目と3回目は日の丸と富士山をあしらったスペシャルペイントのバイクを駆るボウマンが獲得。3回目の山岳賞獲得をきっかけにボウマンは単独となり、TTモードで巡行しながら後からやってくる自チームのエースを待ち続ける。宇都宮ブリッツェンのコントロールが生んだ落ち着いた展開は、同じく前待ちを目論んだマルコスにとってはプラスに働かなかった。
観客が詰めかけた古賀志林道を走る photo:Kei Tsuji
遅れて独走すると観客とハイタッチを始めたオスカル・プジョル(スペイン、チーム右京) photo:Makoto.AYANO
集団内で古賀志林道を登る別府史之(日本、トレック・セガフレード) photo:Makoto.AYANO
ワールドチームを従えて宇都宮ブリッツェンが集団コントロール photo:Satoru Kato
均衡が破れたのは11周目(残り4周回)の古賀志林道。屈強なメンバーを揃えたロットNLユンボのロバート・ヘーシンク(オランダ)のペースアップによって集団が一気に破壊され、KOM通過直後にボウマンをキャッチ。下りを経て先頭グループは16名に絞り込まれた。
この16名の中に複数名を入れたのはロットNLユンボ(ボウマン、オリヴィエ、ヘーシンク、トールク)、NIPPOヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ(中根、ティッツァ、サンタロミータ)とミッチェルトン・スコット(パワー、ヘイグ)、トレック・セガフレード(デコルト、フェッリーネ)という4チーム。
16人の先頭集団が形成され、赤谷湖畔を逃げる photo:Makoto.AYANO
集団先頭でペースを上げるアントワン・トールク(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ) photo:Kei Tsuji
ロバート・ヘーシンク(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ)が発射台となるべく先頭集団のペースを上げる photo:Makoto.AYANO
精鋭グループを率いるニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji
単独で追走するマルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Kei Tsuji
有力視されているニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)とマッティ・ブレシェル(デンマーク、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、タデイ・ポガチャル(スロベニア、リュブリャナ・グスト・ザウラム)、トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)はそれぞれ単独に。ここから攻撃を仕掛けたのは唯一4名を残し数的有利に立つロットNLユンボだった。
最後の山岳賞が懸けられた12周目の古賀志林道でアントワン・トールク(オランダ、ロットNLユンボ)が仕掛けたが下りと平坦で吸収。石上優大(日本ナショナルチーム)やマルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)らも後方から追いつく中、再びトールクがアタックし、ここにロブ・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)が合流。更に追走が掛かったことで6名の先頭集団が生まれる。
日本人選手たちを含む追走集団 photo:Kei Tsuji
6人の先頭グループからアタックを開始したロブ・パワー (オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) photo:Makoto.AYANO
パワーとトールクを追うブレシェル、サンタロミータ、ロッシュ photo:Makoto.AYANO
アントワン・トールク(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ)とロブ・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)の2人が逃げる photo:Makoto.AYANO
先頭グループを形成したのはトールク、パワー、ロッシュ、ヘーシンク、サンタロミータ、ブレシェル。トールクを勝たせたいヘーシンクがコントロールを担い、15秒後方の追走集団はアタックとマークを繰り返すことでペースを上げられない。しびれを切らせた前回覇者カノラが単独追走を試みたものの、その時すでに先頭集団は手の届かない位置にあった。
いよいよ最後の古賀志林道に差し掛かると、先手を打ったのは2016年大会3位のパワーだった。川沿いの平坦区間でリードを生み、勾配区間をダンシングで進んだパワーには唯一トールクだけが追いつき、苦しい表情を浮かべながら観客の集うつづら折れ区間を越えていく。ロッシュとカノラ、そしてブレシェルは15秒の差をつけられてしまった。
2016年大会3位のパワーと2017年4位のトールクは、牽制することなく平坦区間を飛ばし逃げ切りに青信号を灯らせる。スプリントで分が悪いトールクは終盤のアップダウン区間で何度も仕掛けたが、登坂が短すぎるためパワーはがっちりと食らいついて離れない。トラックレースさながらのアタックと牽制を続けながらトールク先頭で最終ストレートに現れた。
スプリントを繰り広げるアントワン・トールク(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ)とロブ・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) photo:Kei Tsuji
スプリントでアントワン・トールク(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ)を下したロブ・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) photo:Makoto.AYANO
トールク先頭でマッチスプリントに入ったが、左側のラインを選んだパワーはスプリント力の差を見せつけるようにパスし、先着。来年サンウェブへの移籍を決めている23歳が2度目のジャパンカップで雪辱を晴らす優勝を遂げた。
「1ヶ月前にジャパンカップ出場が決まり、たまにはヨーロッパ以外の土地でレースを走るのも悪くないと思っていた」と言うパワー。オーストラリアの名門育成チームとして知られるジャイコAISからオリカ・グリーンエッジ(当時)入りするエリート街道を歩む23歳であり、今年はストラーデ・ビアンケ(UCIワールドツアー)で6位という結果を残していた。
後続ではブレシェルがロッシュとの一騎打ちで3位に滑り込み、サンタロミータが5位。単独で追走を続けていたカノラは最後まで追いつかず6位に終わっている。なおU23は8位のロバート・スタナード(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)、アジア最優秀選手賞は中根英登(日本、 NIPPOヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)だった。
勝利を喜ぶロブ・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) photo:Kei Tsuji
2位アントワン・トールク(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ)、1位ロブ・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)、3位マッティ・ブレシェル(デンマーク、EFエデュケーションファースト・ドラパック) photo:Kei Tsuji
シャンパンファイトするロブ・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)ら photo:Kei Tsuji
山岳賞を獲得したアントワン・トールク、クーン・ボウマン(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ)、マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリング) photo:Kei Tsuji
アジアンライダー賞を獲得した中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) photo:Kei Tsuji
ジャパンカップサイクルロードレース 結果
1位 ロブ・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) 3時間44分00秒
2位 アントワン・トールク(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ)
3位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +40秒
4位 ニコラス・ロッシュ(BMCレーシングチーム)
5位 イヴァン・サンタロミータ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) +42秒
6位 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) +2分02秒
7位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ) +2分07秒
8位 ロバート・スタナード(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) +2分26秒
9位 クーン・デコルト(オランダ、トレック・セガフレード)
10位 ロビー・ハッカー(オーストラリア、チーム右京)
山岳賞
3周目 マルコス・ガルシア・フェルナンデス(スペイン、キナンサイクリングチーム)
6周目 クーン・ボウマン(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ)
9周目 クーン・ボウマン(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ)
12周目 アントワン・トールク(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ)
アジア最優秀選手賞
12位 中根英登(日本、 NIPPOヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)
U23最優秀選手賞
8位 ロバート・スタナード(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
text : So Isobe
photo:Makoto AYANO、Kei Tsuji、Satoru Kato
![2019年1月のツアー・ダウンアンダーで引退するマシュー・ヘイマン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/cwjcrr01.jpg)
![引退レースとなるオスカル・プジョル(スペイン、チーム右京)](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/ayano2018jcsun-108.jpg)
![好天に恵まれたジャパンカップサイクルロードレースのスタート](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/ayano2018jcsun-149.jpg)
ジャパンカップ最終日は、今年27回目の開催を迎えた宇都宮森林公園でのロードレース。UCIのルール改正によって昨年から大幅に増えた(14チーム69名→21チーム126名)選手を迎えたのは、昨年と打って変わって雲ひとつない青空。体感気温25度ほどの絶好の中世界トップクラスの選手たちが勝負を繰り広げた。
レースコースは毎年おなじみの宇都宮市森林公園周回コース。走行距離144.2kmという短距離レースだが、急勾配のつづら折れが続く古賀志林道の登りが含まれているため総獲得標高は2,590mに登る。急峻な登りとテクニカルな下り、平坦区間、そして終盤にアップダウンが続く難易度の高いコースに向けて、スタート直後からアタックの打ち合いが始まった。
最初の古賀志林道では、スタート前に入念なウォーミングアップを重ねていたマルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)と、現役最終レースのオスカル・プジョル(スペイン、チーム右京)が先行し、遅れて「チームとしてできるだけ攻める姿勢を貫くつもりだった」というクーン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ)も合流。1周目から次々とコンチネンタルチーム勢が遅れていくスピーディーな展開の中、強力な3名がおよそ1分半のリードを築き上げる。
![過去最高人数でのスタートとなったジャパンカップサイクルロードレース](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/ayano2018jcsun-176.jpg)
![1周目から逃げるマルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリング)とオスカル・プジョル(スペイン、チーム右京)](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/cwjcrr05.jpg)
![クーン・ボウマン(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ)がオスカル・プジョル(スペイン、チーム右京)とマルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリング)に合流する](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/ayano2018jcsun-482.jpg)
![宇都宮ブリッツェンファンが詰めかけた古賀志林道](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/cwjcrr15.jpg)
メイン集団の前方には赤いジャージが集結する。「集団の人数が増えたことで位置取りが激しくなるはずなので、集団に埋もれるのではなく先頭でコントロールする作戦を取りました。勝負が掛かる10周目までは牽引して雨澤毅明と鈴木龍を温存しようという作戦でした」と鈴木譲が振り返るように、宇都宮ブリッツェンがフルメンバーでコントロールを開始する。赤い特別ジャージを纏うブリッツェントレインは、タイム差を最大2分半以内に押さえ込んだまま終盤まで牽引を続けた。
快調にローテーションを続ける先頭3名は3、6、9、12周回目の古賀志林道頂上に懸けられた山岳賞でそれぞれ競り合い、最初はマルコスが、2回目と3回目は日の丸と富士山をあしらったスペシャルペイントのバイクを駆るボウマンが獲得。3回目の山岳賞獲得をきっかけにボウマンは単独となり、TTモードで巡行しながら後からやってくる自チームのエースを待ち続ける。宇都宮ブリッツェンのコントロールが生んだ落ち着いた展開は、同じく前待ちを目論んだマルコスにとってはプラスに働かなかった。
![観客が詰めかけた古賀志林道を走る](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/cwjcrr16.jpg)
![遅れて独走すると観客とハイタッチを始めたオスカル・プジョル(スペイン、チーム右京)](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/ayano2018jcsun-1309.jpg)
![集団内で古賀志林道を登る別府史之(日本、トレック・セガフレード)](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/ayano2018jcsun-760.jpg)
![ワールドチームを従えて宇都宮ブリッツェンが集団コントロール](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/jcrr3.jpg)
均衡が破れたのは11周目(残り4周回)の古賀志林道。屈強なメンバーを揃えたロットNLユンボのロバート・ヘーシンク(オランダ)のペースアップによって集団が一気に破壊され、KOM通過直後にボウマンをキャッチ。下りを経て先頭グループは16名に絞り込まれた。
この16名の中に複数名を入れたのはロットNLユンボ(ボウマン、オリヴィエ、ヘーシンク、トールク)、NIPPOヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ(中根、ティッツァ、サンタロミータ)とミッチェルトン・スコット(パワー、ヘイグ)、トレック・セガフレード(デコルト、フェッリーネ)という4チーム。
![16人の先頭集団が形成され、赤谷湖畔を逃げる](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/ayano2018jcsun-1639.jpg)
![集団先頭でペースを上げるアントワン・トールク(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ)](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/cwjcrr23.jpg)
![ロバート・ヘーシンク(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ)が発射台となるべく先頭集団のペースを上げる](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/ayano2018jcsun-1730.jpg)
![精鋭グループを率いるニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/cwjcrr24.jpg)
![単独で追走するマルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/cwjcrr27.jpg)
有力視されているニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)とマッティ・ブレシェル(デンマーク、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、タデイ・ポガチャル(スロベニア、リュブリャナ・グスト・ザウラム)、トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)はそれぞれ単独に。ここから攻撃を仕掛けたのは唯一4名を残し数的有利に立つロットNLユンボだった。
最後の山岳賞が懸けられた12周目の古賀志林道でアントワン・トールク(オランダ、ロットNLユンボ)が仕掛けたが下りと平坦で吸収。石上優大(日本ナショナルチーム)やマルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)らも後方から追いつく中、再びトールクがアタックし、ここにロブ・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)が合流。更に追走が掛かったことで6名の先頭集団が生まれる。
![日本人選手たちを含む追走集団](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/cwjcrr28.jpg)
![6人の先頭グループからアタックを開始したロブ・パワー (オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/ayano2018jcsun-1819.jpg)
![パワーとトールクを追うブレシェル、サンタロミータ、ロッシュ](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/ayano2018jcsun-1893.jpg)
![アントワン・トールク(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ)とロブ・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)の2人が逃げる](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/ayano2018jcsun-1979.jpg)
先頭グループを形成したのはトールク、パワー、ロッシュ、ヘーシンク、サンタロミータ、ブレシェル。トールクを勝たせたいヘーシンクがコントロールを担い、15秒後方の追走集団はアタックとマークを繰り返すことでペースを上げられない。しびれを切らせた前回覇者カノラが単独追走を試みたものの、その時すでに先頭集団は手の届かない位置にあった。
いよいよ最後の古賀志林道に差し掛かると、先手を打ったのは2016年大会3位のパワーだった。川沿いの平坦区間でリードを生み、勾配区間をダンシングで進んだパワーには唯一トールクだけが追いつき、苦しい表情を浮かべながら観客の集うつづら折れ区間を越えていく。ロッシュとカノラ、そしてブレシェルは15秒の差をつけられてしまった。
2016年大会3位のパワーと2017年4位のトールクは、牽制することなく平坦区間を飛ばし逃げ切りに青信号を灯らせる。スプリントで分が悪いトールクは終盤のアップダウン区間で何度も仕掛けたが、登坂が短すぎるためパワーはがっちりと食らいついて離れない。トラックレースさながらのアタックと牽制を続けながらトールク先頭で最終ストレートに現れた。
![スプリントを繰り広げるアントワン・トールク(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ)とロブ・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/cwjcrr29.jpg)
![スプリントでアントワン・トールク(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ)を下したロブ・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/ayano2018jcsun-2032.jpg)
トールク先頭でマッチスプリントに入ったが、左側のラインを選んだパワーはスプリント力の差を見せつけるようにパスし、先着。来年サンウェブへの移籍を決めている23歳が2度目のジャパンカップで雪辱を晴らす優勝を遂げた。
「1ヶ月前にジャパンカップ出場が決まり、たまにはヨーロッパ以外の土地でレースを走るのも悪くないと思っていた」と言うパワー。オーストラリアの名門育成チームとして知られるジャイコAISからオリカ・グリーンエッジ(当時)入りするエリート街道を歩む23歳であり、今年はストラーデ・ビアンケ(UCIワールドツアー)で6位という結果を残していた。
後続ではブレシェルがロッシュとの一騎打ちで3位に滑り込み、サンタロミータが5位。単独で追走を続けていたカノラは最後まで追いつかず6位に終わっている。なおU23は8位のロバート・スタナード(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)、アジア最優秀選手賞は中根英登(日本、 NIPPOヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)だった。
![勝利を喜ぶロブ・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/cwjcrr32.jpg)
![2位アントワン・トールク(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ)、1位ロブ・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)、3位マッティ・ブレシェル(デンマーク、EFエデュケーションファースト・ドラパック)](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/cwjcrr33.jpg)
![シャンパンファイトするロブ・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)ら](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/cwjcrr34.jpg)
![山岳賞を獲得したアントワン・トールク、クーン・ボウマン(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ)、マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリング)](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/cwjcrr35.jpg)
![アジアンライダー賞を獲得した中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)](https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/images/2018/10/21/cwjcrr36.jpg)
ジャパンカップサイクルロードレース 結果
1位 ロブ・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) 3時間44分00秒
2位 アントワン・トールク(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ)
3位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +40秒
4位 ニコラス・ロッシュ(BMCレーシングチーム)
5位 イヴァン・サンタロミータ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) +42秒
6位 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) +2分02秒
7位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ) +2分07秒
8位 ロバート・スタナード(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) +2分26秒
9位 クーン・デコルト(オランダ、トレック・セガフレード)
10位 ロビー・ハッカー(オーストラリア、チーム右京)
山岳賞
3周目 マルコス・ガルシア・フェルナンデス(スペイン、キナンサイクリングチーム)
6周目 クーン・ボウマン(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ)
9周目 クーン・ボウマン(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ)
12周目 アントワン・トールク(オランダ、チーム・ロットNL・ユンボ)
アジア最優秀選手賞
12位 中根英登(日本、 NIPPOヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)
U23最優秀選手賞
8位 ロバート・スタナード(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
text : So Isobe
photo:Makoto AYANO、Kei Tsuji、Satoru Kato