雨降るジャパンカップクリテリウム ロングスプリントを仕掛けたマルコ・カノラが勝利

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雨が降るウェットな宇都宮大通りを平均スピード46.1km/hで駆け抜けた74名の選手たち。最終コーナーを曲がり、ロングスプリントを仕掛けたマルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)が落車によってばらけた集団を振り切った。



マトリックス パワータグのホセ・ヴィセンテ・トリビオとアイラン・フェルナンデスと話すアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)マトリックス パワータグのホセ・ヴィセンテ・トリビオとアイラン・フェルナンデスと話すアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji写真撮影に応じるリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング・チーム)写真撮影に応じるリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング・チーム) photo:Kei Tsuji

プレゼントを配るアルベルト・コンタドールと別府史之(トレック・セガフレード)プレゼントを配るアルベルト・コンタドールと別府史之(トレック・セガフレード) photo:Makoto.AYANO観客たちとタッチするアレックス・ハウズ(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)観客たちとタッチするアレックス・ハウズ(アメリカ、キャノンデール・ドラパック) photo:Kei Tsuji

スタート前にパレード走行するBMCレーシング・チームスタート前にパレード走行するBMCレーシング・チーム photo:Kei Tsuji佐藤市長がアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)に花束を渡すセレモニー佐藤市長がアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)に花束を渡すセレモニー photo:Makoto.AYANO


宇都宮大通り西側のUターンが本町交差点から池上町交差点まで約350m延長され、2016年に誕生した全長2.25kmの周回コースを合計15周する38.25kmで行われたジャパンカップクリテリウム。4周、8周、12周目のフィニッシュ地点にスプリントポイントが設定されているため、中だるみなくアタックがかかり続けるのが特長だ。

宇都宮中央小学校をスタートした一行は、宇都宮市の佐藤栄一市長や「弱虫ペダル」作者の渡辺航さんを先頭に周回をぐるっと2周パレード走行。現役引退後久々のレース出場となるアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)の引退セレモニーを経て、雨降り&気温18度ほどの悪天候の中でスタートが切られた。

雨が降る宇都宮大通りをスタート雨が降る宇都宮大通りをスタート photo:Kei Tsuji
スタート後すぐにクリストファー・ウィリアムズ(オーストラリア、チーム ノボ ノルディスク)らがアタックスタート後すぐにクリストファー・ウィリアムズ(オーストラリア、チーム ノボ ノルディスク)らがアタック photo:Kei Tsuji先頭を引き続けるアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)先頭を引き続けるアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) photo:Makoto.AYANO


朝から雨が降り続いたにもかかわらず公式発表4万8000人もの観客に見守られたレースは、このクリテリウムのために結成されたクリテリウムスペシャルライダーズのネイサン・ハース(オーストラリア)らのアタックによって幕開ける。「スピードが遅かったので飛び出してみた」というハースにクリストファー・ウィリアムズ(オーストラリア、チーム ノボ ノルディスク)が合流する形で早速2人が飛び出したものの、すぐさまトレック・セガフレードが人数を揃えて集団コントロールを開始した。

1周目から縦に伸びたメイン集団の先頭を走ったのはコンタドールだった。ハースが「ここまでトレック・セガフレードがコントロールするとは想像していなかった」と面食らうほど、別府史之のクリテリウム3連覇を狙うトレック・セガフレードが序盤から徹底的にレースを支配する。コンタドールやグレゴリー・ダニエル(アメリカ)らの献身的な集団牽引によって逃げという逃げの試みは潰えた。

1回めのスプリント賞を獲得した鈴木龍(ブリヂストン アンカー サイクリングチーム)1回めのスプリント賞を獲得した鈴木龍(ブリヂストン アンカー サイクリングチーム) photo:Makoto.AYANO雨の宇都宮大通りを駆け抜けていくプロトン雨の宇都宮大通りを駆け抜けていくプロトン photo:Makoto.AYANO

アタックして飛び出す小坂光(クリテリウムスペシャルライダーズ)と山本大喜(ジャパン・ナショナル・チーム)アタックして飛び出す小坂光(クリテリウムスペシャルライダーズ)と山本大喜(ジャパン・ナショナル・チーム) photo:Kei Tsuji雨のなか独り逃げるダニロ・ヴィス(スイス、BMCレーシング・チーム)雨のなか独り逃げるダニロ・ヴィス(スイス、BMCレーシング・チーム) photo:Makoto.AYANO


4周目に設定されたスプリントポイントを鈴木龍(ブリヂストン アンカー)が獲得すると、その後全日本チャンピオンの畑中勇介(チーム右京)らが飛び出したがこちらも決まらない。レースも後半に入るとUCIワールドチームも積極的にアタックを繰り出す展開となり、アレックス・ハウズ(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)らも加速するがこれも決まらない。

8周目のスプリントポイントを先頭通過したダニーロ・ヴィス(スイス、BMCレーシング)はそのまましばらく独走したものの、結局はトレック・セガフレード率いるメイン集団に飲み込まれる運命に。レースは完全にトレック・セガフレードの手中にあった。

12周目のスプリントポイントが近づくと、このクリテリウムを最後に宇都宮ブリッツェンを退団する鈴木真理が飛び出す。別府史之(トレック・セガフレード)のハンドサインとともに抜け出した鈴木が最後のスプリントポイントを先頭通過した。その後、メイン集団先頭のトレック・セガフレードにロットNL・ユンボが加わる形で最終周回に突入する。

2つのUターンがある直線的な周回コース2つのUターンがある直線的な周回コース photo:Makoto.AYANO
雨の宇都宮大通りパルコ前を通過するプロトン雨の宇都宮大通りパルコ前を通過するプロトン photo:Makoto.AYANOトレック・セガフレードやチーム・ロットNL・ユンボを先頭に最終周回を駆け抜けるトレック・セガフレードやチーム・ロットNL・ユンボを先頭に最終周回を駆け抜ける photo:Kei Tsuji


トレック・セガフレードが主導権を握って残り700mの最終コーナーを曲がると、4番手に位置していたカノラがロングスパートを開始。機材トラブルによってスペアバイクに乗り換えていたカノラが加速すると、集団前方では落車が発生する。落車も影響してばらけた集団を振り切って、先頭で登り基調の最終ストレートに現れたカノラが余裕を持ってハンドルから手を離した。

「最終コーナーを抜けてから外側からアタックを仕掛けた。最初はタイミングが少し早すぎたとも思ったが、結果的に先着する十分な脚があって本当に良かった」と、イタリアのヴィチェンツァ出身の28歳は喜ぶ。カノラはバルディアーニCSF所属時代の2014年にジロ・デ・イタリアでステージ優勝を飾っており、2017年のツアー・オブ・ジャパンでは京都ステージといなべステージ、南信州ステージで3勝(ポイント賞獲得)。10月上旬のイタリア連戦でもコンスタントに上位入賞している。

雨のスプリントを制したマルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)雨のスプリントを制したマルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) photo:Kei Tsuji
カノラが照準を合わせていたのは土曜日のクリテリウムではなく日曜日のロードレース。「自分にはスピードがあるのでトライしてみた。明日に向けて準備はできているよ」と、2日連続優勝に向けて意気込んだ。

カノラの優勝タイムは43分57秒で平均スピードは46.1km/h。同じコースでドライな状態で行われた2016年大会は優勝タイムが43分04秒で平均スピードが47.0km/hだった。2位にはフアン・ホセ・ロバト(スペイン、ロットNL・ユンボ)、3位にはスタジエール(研修生)として走るブラム・ヴェルテン(オランダ、BMCレーシング)が入り、雨乞竜己(キナンサイクリングチーム)が日本人最高位の4位に。そのほかにも下島将輝(那須ブラーゼン)、阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)、小坂光(クリテリウムスペシャルライダーズ)がトップ10入りを果たした。

優勝したマルコ・カノラ(イタリア)を囲むNIPPO・ヴィーニファンティーニ優勝したマルコ・カノラ(イタリア)を囲むNIPPO・ヴィーニファンティーニ photo:Makoto.AYANO3回目のスプリント賞を獲得した鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)3回目のスプリント賞を獲得した鈴木真理(宇都宮ブリッツェン) photo:Makoto.AYANO

表彰台の真ん中に立つマルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)表彰台の真ん中に立つマルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) photo:Makoto.AYANOスプリント賞を獲得した鈴木龍(ブリヂストン アンカー サイクリングチーム)、ダニーロ・ヴィス(スイス、BMCレーシング・チーム)、鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)スプリント賞を獲得した鈴木龍(ブリヂストン アンカー サイクリングチーム)、ダニーロ・ヴィス(スイス、BMCレーシング・チーム)、鈴木真理(宇都宮ブリッツェン) photo:Kei Tsuji


ジャパンカップ2017クリテリウム結果
1位 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)       0:43:57
2位 フアン・ホセ・ロバト・デル・ヴァジェ(スペイン、チーム・ロットNLユンボ)
3位 ブラム・ヴェルテン(オランダ、BMCレーシング・チーム)
4位 雨乞竜己(キナンサイクリングチーム)
5位 ベンジャミン・ヒル(オーストラリア、アタッキ・チーム・グスト )
6位 ジョン・アラベストゥリ・イサガ(スペイン、チーム右京)
7位 下島将輝(那須ブラーゼン)
8位 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)
9位 小坂光(クリテリウムスペシャルライダーズ)
10位 アレックス・ハウズ(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)

スプリント賞
4周回 鈴木龍(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)
8周回 ダニーロ・ヴィス(スイス、BMCレーシング・チーム)
12周回 鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)

text&photo:Kei Tsuji
photo:Makoto.AYANO