平均スピード43.5km/h。大歓声の宇都宮大通りを最速で駆け抜けたのは、2011年の勝者、スティール・ヴォンホフ(オーストラリア、ガーミン・シャープ)だった。
宇都宮の目抜き通りを駆けるジャパンカップクリテリウム。市中心部を貫く宇都宮大通りを規制して作られた1周1.55kmの平坦コースは今年も観客の大歓声に包まれた。
ジャパンカップ本戦に出場する国内外のUCIチームにクリテリウムスペシャルチームを加えた16チームが、競輪場からの短い移動区間を経て周回コースに到着。どんよりとした空の下、15時57分、パレード走行を終えた選手たちがスタートを切った。
スタート直後に飛び出したのは深谷知広(クリテリウムスペシャルチーム)。2009年にデビューから史上最速S級昇級を果たした23歳を追うようにして、トップロードレーサーたちのアタック合戦が始まった。
約1周回を独走した深谷に、チャド・バイヤー(アメリカ、チャンピオンシステム)、中根英登(チームNIPPO・デローザ)、ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、レディオシャック・レオパード)が合流。ここから深谷が遅れ、3名の先行が決まった。
「最初から逃げに乗ろうと思っていたわけではなく、明日の本戦を見据えて(強度を)上げておこうと思っていました。チャンピオンシステムの選手に反応したところ、後方の集団で落車が発生して、そのタイミングで逃げが決まった」と中根は語る。
単調な展開になりがちな20周・全長31kmのレースにアクセントを加えるのが、5周回毎に設定されたスプリント賞。中根は抜群の加速で1回目(5周目)のスプリントポイントを先取する。
しかし2回目(10周目)のスプリントポイントでオリヴェイラが飛び出し、カウンターアタックで追いかけた中根は失速してしまう。オリヴェイラとバイヤーの2人が逃げ続け、最後のスプリントポイントもオリヴェイラの手に。
レース前半からメイン集団を率いたのは、リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)やダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)、イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)ら。グランツールで主役を担うオールラウンダーたちが、アシストとしてチームメイトのために力を尽くした。
中根の吸収後、福島晋一(チームNIPPO・デローザ)らがアタックを仕掛けたが決まらない。ジャパンカップ本戦に向けて自分の調子を確認するかのようなダビ・ロペスガルシア(スペイン、スカイプロサイクリング)のアタックも引き戻される。
ブリヂストンアンカーやガーミン・シャープが積極的に人数を送り込み、メイン集団のスピードを上げ続ける。逃げ続けたオリヴェイラとバイヤーの2人は、残り2周を前に吸収。やがて、別府史之を引き連れる昨年の覇者ヤロスラフ・マリチ(ポーランド、クリテリウムスペシャルチーム)が先頭に立つ形で最終周回に入った。
残り600mの180度コーナーを立ち上がって集団はゴールスプリント体制に入る。ブラッド・ハフ(アメリカ、ジェリーベリー)が先頭でスプリントを開始したものの、ゴール手前100mから始まる緩斜面で失速。
その後ろから、スティール・ヴォンホフ(オーストラリア、ガーミン・シャープ)が力強い加速で先頭に立つ。アウト側から追い上げたベルンハルト・アイゼル(オーストリア、スカイプロサイクリング)とイン側のマッテーオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)を、ヴォンホフが振り切った。
現在ガーミン・シャープに所属するヴォンホフは2011年のクリテリウム(当時はジェネシス・ウェルスアドヴァイザーズ所属)でも勝利しており、宇都宮大通りで2年ぶり2度目のガッツポーズを繰り出した。
「また日本で走ることが嬉しい」と、オリオンスクエアの表彰台の頂点に立ったヴォンホフは語る。「チームメイトが集団を率いて逃げを捕まえて、そして良いポジションをキープしてくれた。残り150mからスプリントを開始したんだ」。今年オーストラリアのクリテリウム選手権で2位に入ったヴォンホフがそのスピードを見せつけた。
日本人選手の最高位はオリカ・グリーンエッジに所属する別府史之(クリテリウムスペシャルチーム)の5位。また、盛一大(愛三工業レーシングチーム)が8位、大久保陣(チームUKYO)が10位に入っている。
ジャパンカップ2013クリテリウム結果
1位 スティール・ヴォンホフ(オーストラリア、ガーミン・シャープ) 42'38"
2位 ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、スカイプロサイクリング)
3位 マッテーオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 ブラッド・ハフ(アメリカ、ジェリーベリー)
5位 別府史之(クリテリウムスペシャルチーム)
6位 マット・ブラマイヤー(アイルランド、チャンピオンシステム)
7位 マティアス・フリート?マン(チャンピオンシステム)
8位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)
9位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)
10位 大久保陣(チームUKYO)
スプリント賞
5周目 中根英登(チームNIPPO・デローザ)
10周目 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、レディオシャック・レオパード)
15周目 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、レディオシャック・レオパード)
text&photo:Kei Tsuji
宇都宮の目抜き通りを駆けるジャパンカップクリテリウム。市中心部を貫く宇都宮大通りを規制して作られた1周1.55kmの平坦コースは今年も観客の大歓声に包まれた。
ジャパンカップ本戦に出場する国内外のUCIチームにクリテリウムスペシャルチームを加えた16チームが、競輪場からの短い移動区間を経て周回コースに到着。どんよりとした空の下、15時57分、パレード走行を終えた選手たちがスタートを切った。
スタート直後に飛び出したのは深谷知広(クリテリウムスペシャルチーム)。2009年にデビューから史上最速S級昇級を果たした23歳を追うようにして、トップロードレーサーたちのアタック合戦が始まった。
約1周回を独走した深谷に、チャド・バイヤー(アメリカ、チャンピオンシステム)、中根英登(チームNIPPO・デローザ)、ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、レディオシャック・レオパード)が合流。ここから深谷が遅れ、3名の先行が決まった。
「最初から逃げに乗ろうと思っていたわけではなく、明日の本戦を見据えて(強度を)上げておこうと思っていました。チャンピオンシステムの選手に反応したところ、後方の集団で落車が発生して、そのタイミングで逃げが決まった」と中根は語る。
単調な展開になりがちな20周・全長31kmのレースにアクセントを加えるのが、5周回毎に設定されたスプリント賞。中根は抜群の加速で1回目(5周目)のスプリントポイントを先取する。
しかし2回目(10周目)のスプリントポイントでオリヴェイラが飛び出し、カウンターアタックで追いかけた中根は失速してしまう。オリヴェイラとバイヤーの2人が逃げ続け、最後のスプリントポイントもオリヴェイラの手に。
レース前半からメイン集団を率いたのは、リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)やダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)、イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)ら。グランツールで主役を担うオールラウンダーたちが、アシストとしてチームメイトのために力を尽くした。
中根の吸収後、福島晋一(チームNIPPO・デローザ)らがアタックを仕掛けたが決まらない。ジャパンカップ本戦に向けて自分の調子を確認するかのようなダビ・ロペスガルシア(スペイン、スカイプロサイクリング)のアタックも引き戻される。
ブリヂストンアンカーやガーミン・シャープが積極的に人数を送り込み、メイン集団のスピードを上げ続ける。逃げ続けたオリヴェイラとバイヤーの2人は、残り2周を前に吸収。やがて、別府史之を引き連れる昨年の覇者ヤロスラフ・マリチ(ポーランド、クリテリウムスペシャルチーム)が先頭に立つ形で最終周回に入った。
残り600mの180度コーナーを立ち上がって集団はゴールスプリント体制に入る。ブラッド・ハフ(アメリカ、ジェリーベリー)が先頭でスプリントを開始したものの、ゴール手前100mから始まる緩斜面で失速。
その後ろから、スティール・ヴォンホフ(オーストラリア、ガーミン・シャープ)が力強い加速で先頭に立つ。アウト側から追い上げたベルンハルト・アイゼル(オーストリア、スカイプロサイクリング)とイン側のマッテーオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)を、ヴォンホフが振り切った。
現在ガーミン・シャープに所属するヴォンホフは2011年のクリテリウム(当時はジェネシス・ウェルスアドヴァイザーズ所属)でも勝利しており、宇都宮大通りで2年ぶり2度目のガッツポーズを繰り出した。
「また日本で走ることが嬉しい」と、オリオンスクエアの表彰台の頂点に立ったヴォンホフは語る。「チームメイトが集団を率いて逃げを捕まえて、そして良いポジションをキープしてくれた。残り150mからスプリントを開始したんだ」。今年オーストラリアのクリテリウム選手権で2位に入ったヴォンホフがそのスピードを見せつけた。
日本人選手の最高位はオリカ・グリーンエッジに所属する別府史之(クリテリウムスペシャルチーム)の5位。また、盛一大(愛三工業レーシングチーム)が8位、大久保陣(チームUKYO)が10位に入っている。
ジャパンカップ2013クリテリウム結果
1位 スティール・ヴォンホフ(オーストラリア、ガーミン・シャープ) 42'38"
2位 ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、スカイプロサイクリング)
3位 マッテーオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 ブラッド・ハフ(アメリカ、ジェリーベリー)
5位 別府史之(クリテリウムスペシャルチーム)
6位 マット・ブラマイヤー(アイルランド、チャンピオンシステム)
7位 マティアス・フリート?マン(チャンピオンシステム)
8位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)
9位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)
10位 大久保陣(チームUKYO)
スプリント賞
5周目 中根英登(チームNIPPO・デローザ)
10周目 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、レディオシャック・レオパード)
15周目 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、レディオシャック・レオパード)
text&photo:Kei Tsuji